CBDとは
CBD(カンナビジオール)は、大麻草から抽出される成分の1つです。精神活性作用や依存性はなく、医療・健康・美容において様々な有用性が報告されています。
また、CBDはてんかんの治療に有効であることが認められています。
ここではCBDを主成分としたてんかん治療薬に関する情報や、また、どのような研究結果や事例があるかを紹介いたします。
てんかんとは
てんかんとは、中枢神経系障害で、脳の神経回路と神経活動が異常をきたし、運動機能の異常、けいれん、視覚や聴覚の異常、頭痛や吐き気、失神などを引き起こす病気です。生涯を通じて1回でも発作を経験する人は10%で、「てんかん」と診断される人は全体の1%です。日本では約100万人のてんかん患者が存在します。※1,2
CBDをベースとしたてんかん治療薬
・2018年、FDA(アメリカ食品医薬品局)は、CBDをベースとして医薬品を承認しました。これはイギリスのCW製薬が製造する「エピディオレックス」という薬です。大規模な臨床試験の結果、エピオディレックスが、ドラべ症候群、レノックス・ガストー症候群という、重篤で他に治療法のない、稀な小児てんかんの子どもの発作を減少させられることがわかりました。現在では、結節性硬化症と呼ばれる遺伝性疾患による発作の治療にも認められています。※1
・エピオディレックスは、エタノールやスクラロースなどの添加物を含み、かつ、大麻草由来の成分はCBDのみです。そのため、CBD以外のカンナビノイドやテルペンなどの成分も含まれた大麻草の抽出エキスの方が、てんかん治療に効果的である可能性があります。※1
研究結果や事例の紹介
・1980年、ある論文では、8人のてんかん患者に一日200〜300mgのCBDを4ヶ月にわたって与え、症状が軽減されるかを調べています。被験者の半数は症状が劇的に改善し、試験の期間中はほとんど発作が起きませんでした。3人はある程度の改善が認められ、全く改善が見られなかったのは1人だけでした。※1
・2018年、ブラジルで、てんかんのためにCBDを平均6ヶ月摂っている670人を対象とした11の臨床試験を検証しました。その結果、発作の頻度が低下した人の割合は、高CBDの大麻エキスを使用している人では71%、エピオディレックスの使用者は46%でした。しかも、この分析の対象となった人たちは、治療抵抗性があり、CBDを使う以前に4〜12種類の薬を3年間にわたって使用していました。また、発作が50%以上減少した人は40%、70%以上減少した人は25%、発作がゼロになった人は10%でした。※1
副作用について
高用量のエピオディレックスでは、疲労感、悪心、胃腸障害などの副作用が73%の人で認められました。一方で、全草抽出物剤では、副作用が出た人は33%にすぎませんでした。これは、エピオディレックスにはエタノールやスクラロースなどの添加物が含まれていることが原因の1つとして考えられます。また、全草抽出の形でCBDを摂取する場合は用量が少なくて済むことも要因として考えられます。CBDアイソレートよりも、全草抽出の形でCBDを摂取する方が4倍の効能があったと報告されています。これはアントラージュ効果のお陰と考えられています。※1
上記から、添加物の入っていないもの、かつ、THC以外の大麻草成分が含まれているブロードスペクトラムのCBD製品が最も良いかと思います。ただし、薬物間相互作用の可能性もあるため、現在処方薬を摂っているがCBDの摂取も始めたいという方は、必ず医師に相談してください。
まとめ
- CBDはてんかんの治療に効果があり、CBDを主成分としたエピオディレックスという医薬品が存在する。
- 副作用や摂取量少なくしながら効果を得るために、添加物の入っていないブロードスペクトラムのCBD製品がおすすめ。
- 処方薬を摂っているがCBDの摂取も始めたいという方は、必ず医師に相談すること。
出典・参考
※1:リーダーズ・ダイジェスト編集部. Project CBD. CBDエッセンシャルガイド. 晶文.
※2:てんかんinfo「てんかんとは、どんな病気?」