CBDとは
CBD(カンナビジオール)は、大麻草から抽出される成分の1つです。精神活性作用や依存性はなく、医療・健康・美容において様々な有用性が報告されています。
ここではCBDやCBDを含むカンナビノイドが、がんに対してどのような効果が期待できるのか、また、どのような研究結果や事例があるかを紹介いたします。
がん治療に期待される効果
カンナビノイドは腫瘍サイズを減少させ、がん細胞の遊走、接着、浸潤、転移を阻害する
CBDはがん細胞の増殖を阻止する
CBDは抗がん剤の効果を増強する
カンナビノイドはがんの症状および抗がん剤の副作用を軽減させる
研究結果や事例の紹介
・2013年に行われたエビデンスのレビューでは、「カンナビノイドは腫瘍サイズを減少させ、がん細胞の遊走、接着、浸潤、転移を阻害する」と結論しています。特にCBDは、新しいがん細胞の増殖を阻止することが示されています。※1
・2012年、ある研究では、CBDが血管新生を防ぐということがわかりました。血管新生とは、がん細胞が新しい血管の形成を促し、がん細胞が増殖するための酸素と栄養素を得ようとするメカニズムです。※1
・2011年、カリフォルニア・パシフィック・メディカルセンターのCBD研究者ショーン・マカリスター博士らが発表した論文では、カンナビノイドががん細胞の指揮者の役割を果たすと思われるタンパク質、ID-1遺伝子の働きをいかにして止め、それによって乳がん細胞を殺して腫瘍を破壊するかについて詳細に述べています。※2
・2018年、ブラジルのシリオ・リバネス病院の神経腫瘍科医、ポーラ・ダルステラ博士から報告された症例は、他の治療が奏効しない多形成膠芽腫の患者2人に対してCBDが抗がん作用を発揮したと報告されています。治療の前と後のMRI画像は「標準治療のみを行っている患者では通常見られない、生存期間に影響し得る顕著な改善の様子を示した」と述べています。※2
・2019年、『Anticancer Reserch』誌に掲載された、脳腫瘍の症例に関する文献レビューには、平均生存期間が14〜16ヶ月である悪性脳腫瘍と診断された患者9人に、通常の標準治療と並行して1日あたり400mgのCBDを投与した結果、論文が掲載された時点では9人中1人を除いては全員が存命しており、その平均生存期間は22.3ヶ月であったことが報告されています。※2
・2020年、コロラド州立大学で人間とイヌの脳腫瘍細胞を研究している研究者らが、CBDアイソレートはがん細胞の増殖を遅らせ、膠芽腫細胞に有毒な作用を及ぼすことで抗がん作用を発揮することを発見しています。※2
・2020年、ポルトガルのポルト大学の研究チームが発表した論文は、「CBDの抗がん作用は、様々な種類のがん細胞に関する基礎研究においても示されている」と結論しています。つまり、CBDは様々な種類のがんに対して抗がん作用を発揮するということです。※2
・2014年、『Phytomedicine』誌に掲載された論文では、CBDの含有率の高い大麻抽出成分が、マウスの大腸がんの転移を止めたことを示しています。※2
・マカリスター博士らの動物を使った研究によれば、CBDはドセタキセルやビカルタミドといった一部の抗がん剤と相乗的に作用し、その効果を強めることがわかりました。また、FDA(アメリカ食品医薬品局)に承認された抗がん剤と違い、CBDはがんの周囲の正常な細胞を傷つけません。※2
・2019年、Project CBDが行ったアンケート調査では、CBDをがんのために使っている人ががんの症状および抗がん剤の副作用に対して効果を最も感じたのは、悪心と嘔吐の軽減でした。食欲増進、ニューロパチー(痺れや疼き)、衰弱に対して効果を感じた人も多数いました。※2
・研究によれば、CBDをTHCと併用すると抗がん剤の効果が高まり、治療に必要な抗がん剤の用量が少なくて済みます。※2
気をつけること
カンナビノイドは抗がん剤を分解する酵素の働きを阻害することがあります。その結果、抗がん剤の血中濃度が想定よりも高くなってしまう可能性があります。したがって、抗がん剤治療とCBDオイルなどの大麻オイルを併用したい場合は、主治医の監督の下で行ってください。※2
まとめ
- CBDには、がん細胞の増殖阻止、抗がん剤の効果増強、がんの症状および抗がん剤の副作用の軽減などの効果があることが示されている。
- カンナビノイドは抗がん剤の分解を阻害する場合があるため、抗がん剤治療と大麻オイルを併用したい場合は、必ず主治医に相談すること。
出典・参考
※1:アイリーン・コニェツニー; ローレン・ウィルソン. CBDのすべて. 晶文社.
※2:リーダーズ・ダイジェスト編集部. Project CBD. CBDエッセンシャルガイド. 晶文.